【目次】
一、帰化に関する基礎知識
1、帰化申請の要件・方法
2、帰化に関する緩和・救済要件~国籍法第6条
3、帰化に関する条件~国籍法第8条

─、帰化申請

このページでは、帰化の申請方法・注意点などを記載しております。

まず、帰化するということは、どういうことでしょうか?
自分が生まれた時から持っていた国籍を失うということ(日本では重国籍を認めていないから。)そして、日本国民として選挙権を持つことにあります。
そのため、非常に重要なものを失うことにもなるので、「なぜ日本へ帰化したいのか」ということを外国人の方と一緒に考え、実際の申請を行って頂ければと思います。
このように記載するのは、一度帰化してしまえば、元に戻るという制度(帰化の許可の取り消し)という制度が日本国にはなく、再度、元母国の法律によって、元母国の国籍を取得しなければならないからなのです。

では、以下、帰化に関する説明を行います。

帰化に関する情報~国籍法第5条


1帰化申請の要件・方法

日本国へ帰化するための基本的な条件は以下、6つあります。(国籍法第5条)

【国籍法第5条】
法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
(1) 引き続き5年以上日本に住所を有すること
(2) 20歳以上で本国法によって行為能力を有すること
(3) 素行が善良であること
(4) 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営む
ことができること。
(5) 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと
(6) 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

以下、詳しく見て行きます。↓

(1)引き続5年以上日本に住所を有すること。

□上記の「住所」とは民法に規定されている住所を指します。

【民法第22条】各人の生活の本拠をその者の住所とする

そのため、居所は含まれません。
居所とは、読んで字のごとく、「居るところ」です。
(a)上記中、引き続きの意味
在留(ビザ)資格が切れず、5年以上日本に住んでいることをいいます。

Q海外に一度出た場合は?

A海外に出て、日本に戻ってきた場合、当該「引き続き」に該当するか否かですが、再入国許可を受けて、海外に渡航した場合は渡航期間も含めて、5年以上という年月日に記載されます。

ただし、ここで注意しなければならないのは、「在留資格が切れずに・・・」
という部分です。

Ex)
「日本で住んでいた期間は確かに合計すると5年を経過しているけれども、途切れ途切れの場合」
です。

例えば、投資経営の在留資格で3年間居たけれども、その後、帰国し、何年か経過して、次は、人文知識の在留資格で日本に2年間居たような場合です。

確かに、上記を見ますと、合計5年間日本に在留しているように見えますが、「引き続き」という要件に当てはまらず、帰化申請はできません。

Q2 最長の在留資格まで必要?

A2 永住と異なり帰化申請においては、最長の在留期間までは必要ありません。
Ex)人文知識・国際業務にて、仕事をして、10年経過。
転職によって、たまたま、期間が1年で更新されてしまっても、永住のように、「最長の在留期間」という要件はない

【「引き続き」のチェック方法】
①パスポートのチェック
外国人本人の言葉だけをうのみにすることはせずに、帰化申請の条件のための「引き続き」か否かを外国人の方のパスポートなどを確認しておいてください。
(なお、帰化申請の際、過去5年間の渡航履歴をパスポートで証明していくことになります。

②古いパスポートも一緒にチェック!
加えて、パスポートを更新するなどした場合は、新しいパスポートに加えて、古いパスポートも法務局に持参するようにしましょう。

(b)上記帰化申請に関する例外(日配)

□①日本人の配偶者でかつ3年以上日本に住んでいる者、
または②結婚後3年が経過し、 1年以上日本に住んでいる場合(国籍法7条)は、上記の引き続き5年という条件を満たさなくとも、よいということになっています。

なお、上記①であれば、在留期間がたとえ、3年1か月であっても、帰化申請ができることになります。

【事例検討】帰化申請時に夫が亡くなっていた場合
具体的には、日本に在留して4年の外国人の妻が、日本人の夫との婚姻期間も3年が経過し、帰化申請をしようとした。
しかし、準備をしているうちに、夫が急死した。

このような場合は、帰化申請できるか?

【回答】できない。
この場合は、5年の期間が必要。

(2)20歳以上本国法によって行為能力を有する

Q 日本の法律に基づいて、未成年の子は、帰化申請可能か?
□ここで、20歳未満の子供がいた場合でも、その両親が帰化すれば、日本人となり、その子も日本人の子となることから、国籍法第8条第1号により、20歳未満の子も日本国籍を取得することになります。

そのため、帰化申請者の方に未成年のお子さんがいらっしゃった場合には、帰化申請者が日本国籍へ帰化できれば、そのお子さんも帰化することが可能となります。

【国籍法8条】(参考条文)
1、日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
(以下省略)

*上記の条文では、特に年齢要件はないため。
Q,国籍法第5条の条文中、「本国法」とは?
A,日本法を指すことになります。
そのため、外国人の国の法律では行為能力を有しない、もしくは制限されていたとしても、日本法によって行為能力を有しているとされれば、帰化申請をすることは可能となります。

(3)素行が善良であること

□上記帰化の要件の中で、例えば、刑事裁判にかけられ、刑の執行中の者であれば、当該 執行を終えた日であり、また、刑の執行猶予中の者であれば、当該執行猶予が終了しなければ、素行が善良とは言えない。とされています。

参考までに・・
交通違反と帰化申請の関係
交通違反(スピード違反や一旦停止をしなかった場合から人身事故まで)がある場合(減点の積み重ねで、免停になったような場合や人身事故をおこし、即免停になった場合等)、帰化申請を受け付けてくれない場合もありますので注意が必要です。

どのような処分歴があるかどうかは、運転記録証明書などを、免許センターまたは警察署で取得することになります。
なお、運転記録証明書は過去5年間分を取得しておきましょう。
実際には1年、3年、5年と3種類ありますが、最長である5年が必要となります。
但し、5年以内に人身事故等の重大な事故を起こしていないが、それ以前に起こしているという場合があります。
そのような場合もありますので、依頼者からの聞き取りをしっかりとしていきましょう。

スピート違反と罰則

スピート違反をした場合でも、その超過スピードによって、申請できるかどうかが変わってきます。 具体的には、

①一般道路を走行している場合

スピード超過が30km未満であれば、青切符で、30km以上なら赤切符となり、簡易裁判所において、罰金となります。
この罰金となれば、帰化申請の際の「素行が善良」という条件に当てはまらないと判断されてしまいます。

②高速道路を走行している場合

スピード超過が40km未満であれば、青切符で、40km以上なら赤切符となり、簡易裁判所において、罰金となります。
一般道路よりも、上限が3km→40kmと増加しておりますので、お間違えの内容にしてください。
上記と同様に、罰金となれば、「素行が善良でない」と言われてしまう事になります。


(4)自己または生計を一つにする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること。
□上記帰化要件中、生計を一にしているという部分なのですが、これは同居している場合に限らず、例えば、子供が別居(東京に住んでいる場合、)しており、親(神戸に住んでいる場合)の仕送りなどで生活を行っている場合は、生計を一にしているといえ、帰化申請を同時にすることが可能となります。

(5)国籍を有せず、または日本の国籍の取得によって、その国籍を失うべきこと
□ 後段の「日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと」と帰化を認める要件は記  載されています。
具体的な要件とは、
①帰化した場合に外国人が持っていた国籍が自動的に喪失する場合(韓国など)
帰化する前に元の国籍の国籍を離脱できる場合(中国など)、国籍公証書を参照ください。(翻訳方法も含めてチェック)エクスワード XD-A7300
を指します。
しかし、外国人が自らの意思では国籍を失うことができない場合には、帰化の要件が定められた国籍法第5条第2項によって救済が図られています。

【国籍法5条第2項】
法務大臣は、外国人がその意思に関わらずその国籍を失う事ができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第5号に掲げる条件を備えない時でも、帰化を許可することができる。


(6)反社会的団体に属していないこと

例えば、暴力団などに属していないことが必要です。

(7)その他(例えば、日本語能力)
日本の小学校低学年で習う簡単な読み書きなどができれば問題ありません。
最低限、ご自身の動機書を読めるようにしておきましょう。
なお、帰化申請に必要な動機書(特別永住者を除く。)に関しては、ご自身で手書きで記載してもらうことになります。
日本語検定などで、客観的に証明ができればなおよいのですが、なかったとしても、帰化の動機書や実際の面談時に日本語能力はチェックされますので、問題ありません。

2帰化に関する緩和・救済要件~国籍法第6条


「上記の条件中、帰化条件として国籍法第6条には、上記の規定中、①引き続き5年以上日本に住所を有すること。」
という要件を備えなくともよいという規定があります。
その他に関しても規定あり。
具体的には、以下の条件が該当する場合となります。


【国籍法第6条】
①日本国民であった者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所または居所を有する者。
②日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所もしくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれた者
③引き続き10年以上日本に居所を有する者

(1)上記①に関して
*ただし、平和条約の発効によって日本の国籍を喪失した生まれながらの朝鮮人・台湾人は、「日本国民であった者」に該当しないので注意が必要です。
(2)上記③に関して
住所を有しない外国国籍の方が帰化したい場合の救済規定のようだが、通常は適用されて、 帰化されることはない。
それが、下記のような事例であっても同じ
Ex)日本語学校で2年間、4年生大学で4年間、大学院で2年間、さらに他の大学院で2年
間の場合。

3、帰化に関する条件~国籍法第8条
以下のような条件がある場合には、上記の帰化するための要件(国籍法第5条)中(1)、(2)、(4)が免除されるとされています。


(国籍法第8条)
(1)日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する者
(2)日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により
未成年であった者
(3)日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く。)で日本に
住所を有する者
(4)日本で生まれ、かつ出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日
本に住所を有する者

(1)に関して
国籍留保の届け出を出生から3カ月以内にしていなかった場合も、
形式的には、「日本国民の子」に該当しますが、この場合、帰化ではなく、「国籍の再取得」という手続きがあります。(後述)

(3)に関して
平和条約の発効によって日本の国籍を喪失した生まれながらの朝鮮人・台湾人は、「日本国民であった者」に該当しないので注意が必要です。

その他、
(1)に関連して、帰化の話ではないが、日本国籍を取得できるかどうかの話。
【日本国籍を取得できる子供とそうでない子供】
【代表的な例】父が日本人、母が外国人の場合
①法律婚をしている
日本国籍取得可能

②法律婚ではない。
・出生前
→認知をすれば、子供は日本国籍を取得可能となる。
・出生後
→子供が20歳未満で認知をすれば、日本国籍を取得可能。(国籍法3条による。)


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不許可の場合は全額返金

仮に申請後不許可になった場合は、全額返金すると共に国籍を喪失した場合は、当該国籍を復活させる手続きを行います。

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